中小企業がクラウド会計を導入すべき5つの理由

中小企業向けにクラウド会計導入を勧めるバナー画像。チェックリストやグラフを持つ男性ビジネスマンのイラスト付き。
目次

会計ソフトは“クラウド型”が新常識に

中小企業経営者の多くが抱える悩みのひとつに、「経理・会計の効率化」があります。
特に、紙の帳簿やExcel、旧式のインストール型会計ソフトに依存していると、次のような課題に直面しやすくなります。

  • 月末や決算期に経理が追いつかない
  • 経理担当が辞めると業務が回らない
  • データが属人化しており見える化できていない
  • 税理士や外部とのやり取りが非効率

こうした課題を一気に解決できるのが、クラウド会計ソフトの導入です。
freeeやマネーフォワード、弥生といったサービスが浸透し、会計業務のオンライン化・自動化が進んでいるのが2025年の現状です。


なぜいまだに導入が進まないのか?

クラウド会計は便利と聞いても、次のような理由で導入に踏み切れない中小企業も少なくありません。

  • 「データがクラウドにあると不安」
  • 「今のソフトで慣れてるから変更したくない」
  • 「従業員が高齢でITに抵抗がある」
  • 「そもそも何が違うのか、よくわからない」

しかし、クラウド会計の導入を後回しにすることで、知らず知らずのうちに「損をしている」企業も非常に多いのが実情です。


本記事の目的

本記事では、中小企業がクラウド会計を導入すべき理由を、次のような観点からわかりやすく解説していきます。

  • どのような企業にクラウド会計が向いているのか
  • 実際に導入することで得られる効果やメリット
  • 旧来の会計ソフトや手作業と比べて何が違うのか
  • 税制・電子帳簿保存法・e-Taxとの関係も整理

中小企業がクラウド会計を導入すべき5つの理由

クラウド会計の導入は、単なる「便利さ」の追求ではありません。
経営の効率化・業績の見える化・法令対応の強化など、企業の成長に直結する効果があります。

2025年現在、次の5つの理由から中小企業にはクラウド会計導入を強くおすすめします。


✅ 理由①:経理業務の自動化と時間削減

旧来の課題

  • Excelでの手作業入力、転記ミス、確認漏れ
  • 領収書の山に埋もれた経理担当者の負担

クラウド会計の解決策

  • 銀行やクレジットカード明細との自動連携
  • レシートをスマホで撮影するだけで自動仕訳
  • 毎月の記帳業務が半分以下の時間に短縮可能

具体機能(例:freee・マネーフォワード)

  • 明細の自動取得・学習機能付き自動仕訳
  • 定期仕訳のテンプレート化
  • 消費税・源泉税の自動計算

✅ 理由②:財務の「見える化」で意思決定が速くなる

旧来の課題

  • 売上・経費・資金繰りを「感覚」で把握
  • 経営判断に必要なレポートが出てこない

クラウド会計の解決策

  • リアルタイムで損益計算書・貸借対照表が見える
  • 部門別や月別で利益の傾向が分析可能
  • 銀行残高、未収・未払、税負担なども一目で把握

見える化ツールの例

機能名内容
ダッシュボード(freee)今月の売上・費用・利益をグラフ表示
損益レポート(MF)月次・年次の収支を比較表示
キャッシュフロー表(弥生)手元資金の推移を可視化

✅ 理由③:税制・法律の電子化にスムーズに対応できる

2025年の主な法令対応

法令・制度内容
電子帳簿保存法一定の帳簿・書類は電子保存義務あり(スキャナ保存や訂正履歴保存)
インボイス制度適格請求書の発行・保存が義務化(消費税仕入控除に影響)
e-Tax申告所得税・法人税・消費税の電子申告が主流化

クラウド会計の解決策

  • スキャナ保存要件やタイムスタンプへの対応(freee・弥生など)
  • インボイス発行・保存がワンクリックで完了
  • e-TaxソフトとのAPI連携による電子申告の実現

✅ 理由④:チーム・税理士との連携がスムーズになる

  • 社長・経理担当・税理士が同じ画面でリアルタイム共有
  • 「USBでデータを渡す」「紙の帳簿をコピーする」手間が不要
  • 税理士との連携に強いソフト(例:弥生、MF)は、顧問料の削減につながることも

✅ 理由⑤:テレワークや外出先でも経理ができる

  • 会計ソフトがクラウド型=ブラウザorアプリで完結
  • 出張中・在宅勤務中でも帳簿処理・レポート確認が可能
  • パスワード管理・アクセス制限も設定可能でセキュリティ面も安心

クラウド会計の導入事例と現場の変化

中小企業におけるクラウド会計の導入は、経理効率の改善だけにとどまらず、経営の意思決定や働き方そのものにも良い影響を与えています。ここでは、3つのタイプの企業による導入事例を紹介します。


🎯 ケース①:経理1名体制の製造業(年商5,000万円)

  • 導入前の課題
     → 経理担当者が1人で手書き記帳と会計ソフトを併用していたため、決算期に大きな負担が集中。請求書や納品書もExcelで管理していた。
  • 導入ソフト
     → マネーフォワード クラウド会計+請求書+経費
  • 導入効果
    • 銀行口座・クレカ・Amazonビジネスをすべて自動連携
    • 入力作業が月40時間から10時間以下に
    • 税理士とのやり取りはチャット+オンライン共有に切替
    • 決算書作成までのリードタイムが1ヶ月短縮

🎯 ケース②:飲食店チェーン(店舗数3・従業員15名)

  • 導入前の課題
     → 店舗ごとの経費・売上を紙で管理しており、本社への集計業務に毎週数時間が必要。青色申告控除も満額取れていなかった。
  • 導入ソフト
     → freee会計+freee人事労務(給与)+freee開業
  • 導入効果
    • 全店舗でスマホからレシートをスキャン → 自動仕訳
    • 会計+給与+労務を1つのプラットフォームで一元化
    • 青色申告65万円控除の要件(複式簿記+e-Tax)を満たす
    • 月次PL(損益計算書)で黒字化店舗の早期特定が可能に

🎯 ケース③:士業系の個人事務所(税理士・社会保険労務士など)

  • 導入前の課題
     → 外出が多く、紙やPCにインストールした会計ソフトでは情報の確認が遅れがち。記帳業務も後回しになりがちだった。
  • 導入ソフト
     → 弥生オンライン(青色申告)+ドライブ保存+電子帳簿対応プラン
  • 導入効果
    • Googleドライブとの連携で顧客別台帳をリアルタイム管理
    • クライアントにも自社でも使いやすい帳簿環境を構築
    • 電子帳簿保存法にも対応済みで税務署の指摘をクリア
    • 自分の申告だけでなく、顧客への支援も効率化

クラウド会計ソフト比較表(主な3社)

ソフト名特徴月額料金(目安)対象ユーザー
freee会計スマホ・初心者向けUI1,480円〜小規模事業者、創業期
マネーフォワード拡張性・自動連携◎1,480円〜成長企業、複数部門あり
弥生オンライン簿記知識ある方向け0円〜(初年度無料)税理士連携型、紙派

クラウド会計を導入するためのステップと選び方

✅ 導入までの具体的ステップ

  1. 自社の課題を整理する
     経理業務の効率化?税務対応?売上分析? 目的を明確にします。
  2. クラウド会計ソフトの比較・無料体験
     freee・マネーフォワード・弥生はいずれも無料お試しが可能です。
  3. 税理士との連携可否を確認する
     現在の顧問税理士が対応できるクラウド会計にするのがスムーズです。
  4. 社内マニュアルを簡易作成・浸透させる
     導入初期はスタッフにシンプルな操作手順を共有し、徐々に慣れさせるとスムーズ。
  5. まずは1ヶ月、実際に使ってみる
     特に請求書・経費精算など一部業務からの導入がおすすめです。

✅ クラウド会計ソフト選定チェックリスト

チェック項目おすすめソフト
スマホからも使いたいfreee
複数拠点・部門の集計も必要マネーフォワード
税理士との連携が多い弥生
初期費用は抑えたい弥生(初年度無料)
今後、人事労務連携も検討freee
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