経営者が知りたい「節税に強い会計ソフト」とは
会計ソフトを導入する目的は、単なる記帳や決算処理にとどまりません。特に個人事業主や中小企業経営者にとっては、いかに正確に経理を行い、節税につなげられるかが大きな関心事です。
クラウド会計ソフトの代表格であるfreee会計と弥生会計オンラインは、どちらも人気が高く利用者が多いサービスですが、「節税効果を最大限に活かせるのはどちらか?」という疑問を抱く方は少なくありません。
会計ソフト選びで直面する課題
実際にソフトを検討する経営者は、次のような悩みを抱えています。
- 「青色申告特別控除65万円をきちんと受けられるのはどっち?」
- 「経費をもれなく計上するサポートがあるか?」
- 「共済や保険を使った節税にも対応できるのか?」
- 「税務署に指摘されないよう正しい仕訳を自動化できるか?」
- 「税理士との連携を通じて、より高度な節税アドバイスを受けやすいのは?」
👉 このような不安や疑問を解消するには、それぞれのソフトの強みと限界を正しく理解することが重要です。
freeeは「効率的な経費計上」、弥生は「正確性と安定性」に強み
税理士の視点から結論を言えば、
- freee会計は「経費の自動仕訳やクラウド連携」に優れており、漏れなく経費を記録して節税の機会を逃さない点で強みがあります。
- 弥生会計オンラインは「仕訳や帳簿作成の正確性」が高く、税務署への申告に安心感があり、リスクを減らしつつ節税効果を確実に享受できる点で評価されます。
つまり、
- 攻めの節税をしたい人はfreee
- 守りの節税を重視したい人は弥生
という傾向があるのです。
freee会計が節税に強い理由
1. 自動仕訳で経費漏れを防ぐ
- 銀行口座・クレジットカード・電子マネー・請求書を自動連携
- AIが仕訳候補を自動提案し、継続的に学習
- 領収書もスマホ撮影で自動読取
👉 入力漏れによる経費計上の失敗を防げるため、節税効果を高められます。
2. 青色申告特別控除65万円に対応
- 電子申告(e-Tax)とのスムーズな連携機能
- 複式簿記仕訳の自動生成で、65万円控除に必要な条件を満たしやすい
- 会計知識がなくても青色申告に対応できる
👉 青色申告の大きな節税効果を「誰でも使えるレベル」でサポートしているのが強みです。
3. 共済・保険など節税制度への柔軟な対応
- 小規模企業共済、倒産防止共済、法人保険の仕訳テンプレートを用意
- 税理士と共有すれば、共済・保険を活用した節税シミュレーションも容易
- 節税対策のための経費入力を抜け漏れなく反映可能
4. リアルタイムでの経営分析
- ダッシュボードで収支・利益・税負担を即時確認
- 節税タイミング(設備投資や保険加入など)を迅速に判断できる
- 資金繰り改善と節税対策を一体的に進められる
👉 節税効果を「決算前に見える化」する点が、freeeならではの強みです。
弥生会計オンラインが節税に強い理由
1. 正確性の高い仕訳で税務署対応に強い
- 簿記のルールに忠実な仕訳入力
- 会計帳簿が国税庁フォーマットに準拠
- 税務調査に備えた正確な証拠資料を作成可能
👉 「節税はしたいが、調査リスクは避けたい」という法人に向く安心感。
2. 青色申告の要件を確実に満たせる
- 複式簿記を前提とした設計
- 仕訳帳・総勘定元帳・貸借対照表・損益計算書を自動作成
- e-Tax申告用データの作成も可能
👉 確実に65万円控除を狙える環境を提供。
3. 決算・申告に強く、節税処理を見落とさない
- 減価償却・引当金・繰延資産などの処理を網羅
- 法人税・消費税申告ソフトとのスムーズな連携
- 節税スキーム(役員給与・退職金積立など)をきちんと反映できる
4. 税理士との親和性が高い
- 会計事務所の多くが弥生を利用
- 顧問税理士が弥生を前提にアドバイスすることが多い
- 専門家のチェックを受けやすく、節税の効果を確実に享受できる
機能比較まとめ
| 観点 | freee会計 | 弥生会計オンライン |
|---|---|---|
| 経費計上 | 自動化で漏れ防止 | 手入力中心だが正確性高い |
| 青色申告65万控除 | 簡単に対応可能 | 簿記知識前提だが確実性高い |
| 共済・保険対応 | 柔軟に仕訳可能 | 顧問税理士と併用で強み発揮 |
| 決算・申告 | シンプル設計 | 減価償却・引当金まで網羅 |
| 税理士連携 | クラウド共有が便利 | 利用率が高く親和性抜群 |
👉 freeeは「効率的に節税のチャンスを広げる」ソフト、弥生は「節税効果を確実に享受できる」ソフトといえます。
実際の利用事例から見る節税効果
事例1:フリーランスデザイナー(freee会計利用)
- 背景
年商600万円、経理は未経験。確定申告を毎年手作業で行っており、経費計上漏れが多かった。 - freee導入後の変化
- クレジットカードや銀行口座を連携し、自動で経費を取り込み
- スマホでレシートを撮影して経費入力を即時反映
- 青色申告65万円控除に必要な複式簿記の帳簿を自動作成
- 節税効果
経費漏れが減ったことで課税所得が約50万円減少。所得税・住民税で合計10万円以上の節税につながった。
👉 freeeの強みは、**「漏れなく経費を記録できる」→「節税の機会を逃さない」**点にある。
事例2:小売業の法人(弥生会計オンライン利用)
- 背景
年商3000万円、経理担当は総務スタッフ1名。棚卸資産や減価償却など、専門的な処理が多い。 - 弥生導入後の変化
- 減価償却の自動計算や棚卸資産の処理を正しく記録
- 顧問税理士が弥生を利用していたため、月次チェックがスムーズに
- 役員退職金の積立や引当金の計上など、節税スキームを漏れなく反映
- 節税効果
決算時に役員退職金引当金を計上し、約150万円の利益圧縮に成功。法人税の大幅な節税となった。
👉 弥生の強みは、**「正確な会計処理を通じて、制度的な節税を確実に行える」**点にある。
事例3:ITスタートアップ(freee会計+税理士連携)
- 背景
年商1億円、経理担当なし。社長が会計管理を兼任していた。 - freee導入後の変化
- freeeで日々の取引を自動仕訳化
- 税理士とクラウド共有し、節税アドバイスをリアルタイムに受けられる
- 設備投資のタイミングや倒産防止共済の加入をシミュレーション
- 節税効果
税理士の提案で倒産防止共済に加入し、年間240万円の掛金を損金算入。大幅な節税に加え資金繰りリスクの軽減にも成功。
👉 freeeは「クラウド共有」を軸に、税理士と組み合わせることで節税効果を最大化できる。
事例4:製造業の中堅企業(弥生会計オンライン利用)
- 背景
年商5億円、経理担当3名。決算処理や税務調査対応を重視。 - 弥生導入後の変化
- 法人税・消費税の処理が正確になり、申告ミスが減少
- 会計監査・税務調査でも弥生の帳簿が高い信頼性を発揮
- 減価償却や研究開発費控除などの制度的な節税を漏れなく反映
- 節税効果
研究開発税制の適用で、法人税額から300万円の控除に成功。
👉 弥生は「制度対応の正確性」で、中規模法人が使う節税スキームをしっかりサポートできる。
事例から見えてくる傾向
- freee会計:経費漏れ防止・自動化・スピード感に強み → フリーランス・小規模事業に有利
- 弥生会計オンライン:正確性・制度対応・税理士との親和性に強み → 法人・中規模事業に有利
自社に合ったソフトを選ぶためのチェックポイント
1. 事業規模と経理体制を確認する
- フリーランス・小規模事業 → 経理担当がいないことが多いため、経費漏れ防止や自動化が強みのfreeeが適する
- 中小法人・経理担当あり → 正確な仕訳や制度対応が重視されるため、弥生が適する
2. 節税の優先度を整理する
- 「とにかく漏れなく経費を落としたい」 → freee
- 「制度的な節税(減価償却・共済・税額控除)をしっかり適用したい」 → 弥生
3. 税理士との連携スタイルを確認する
- クラウド共有を活用してスピード感あるアドバイスを受けたい → freee
- 既存の税理士が弥生ユーザーであることが多い → 弥生
4. 操作性とサポート体制を比較する
- freee → 初心者向けの直感的なUI、オンラインヘルプが充実
- 弥生 → 電話サポートや訪問サポートが手厚く、初心者でも安心
導入の流れと失敗しない進め方
- 無料トライアルを利用する
- 両社とも無料体験が可能なので、必ず操作感を試す
- 初期設定を正しく行う
- 会計期間・勘定科目・消費税区分を確認
- 税理士と相談してスタートするのがおすすめ
- 自動連携を活用する
- freee → 銀行・カード・請求書を自動同期
- 弥生 → 入力ルールを明確にして誤入力を防止
- 税理士と連携して節税策を確認
- 共済、保険、減価償却、税額控除などを事前に計画
- 決算直前ではなく月次でレビューするのが効果的
- 定期的にソフトの使い勝手を見直す
- 自社の成長に合わせて、プラン変更やソフト変更も視野に入れる
freeeは「攻め」、弥生は「守り」
- freee会計:自動化とスピードで「経費計上の漏れをなくし、攻めの節税」を実現
- 弥生会計オンライン:正確性と制度対応で「調査リスクを減らし、守りの節税」を実現
👉 どちらが優れているかではなく、自社の規模・体制・節税方針に合ったソフトを選ぶことが重要です。

