広がるクラウド会計ソフトの利用
近年、個人事業主や中小企業の経営者にとって、会計ソフトの導入は必須ともいえる状況になっています。特にクラウド会計ソフトは、銀行やクレジットカードと連携した自動仕訳や、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応といった点で需要が急増しています。
その中でも「マネーフォワードクラウド会計」は、多機能かつバックオフィス全体を一元化できる拡張性から、多くのユーザーに支持されています。しかし、実際に導入を検討する経営者の多くが抱える疑問が「料金が高いのではないか?」という点です。
なぜ料金が高いと感じられるのか
他社ソフトとの比較での印象
- 弥生会計オンライン:初年度無料、年額プランが割安
- freee会計:料金はやや高めだが、初心者向けの操作性が強み
- マネーフォワードクラウド会計:機能は豊富だが、月額制で長期的にみると割高に見える
このように比較すると、マネーフォワードは「便利だがコストがかかる」という印象を持たれやすいのです。
プラン構成の複雑さ
個人向け・法人向けで複数のプランがあり、必要な機能を使うには上位プランを選ばざるを得ないケースもあります。結果として「想定より高くついた」と感じるユーザーが多いのです。
料金は高めだが使い方次第でコスパは良い
結論から言えば、マネーフォワードクラウド会計の料金は確かに他社より高めに設定されています。しかし、バックオフィス業務全体を効率化できる点や、自動化による時間削減効果を考慮すると、十分にコストパフォーマンスは高いといえます。
さらに、利用方法を工夫することでコストを抑えつつ、必要な機能を最大限活用することも可能です。
マネーフォワードクラウド会計の料金体系
個人事業主向けプラン
プラン名 | 月額料金(税込) | 主な対象 | 特徴 |
---|---|---|---|
パーソナルミニ | 1,078円 | 副業・小規模個人 | 確定申告書作成、自動仕訳 |
パーソナル | 1,408円 | 個人事業主 | 消費税申告、仕訳ルール設定 |
パーソナルプラス | 年額35,760円 | サポート重視の個人 | 電話サポート、優先対応 |
👉 個人事業主でも「消費税申告」や「サポートの充実」を求めると、結局は中位〜上位プランを選ぶ必要があり、結果的にコストがかかる印象を持ちやすいです。
法人向けプラン
プラン名 | 月額料金(税込) | 主な対象 | 特徴 |
---|---|---|---|
スモールビジネス | 2,618円 | 小規模法人 | 請求書・経費精算との連携 |
ビジネス | 4,378円 | 中堅企業 | 部門別会計、ワークフロー管理 |
エンタープライズ | 要見積もり | 大企業 | 内部統制・大規模運用対応 |
👉 法人向けは「請求書・給与・経費精算」を含む統合利用が前提となるため、単純に会計機能だけで見れば割高感があるのは事実です。
料金が高いと感じる理由
1. 機能が豊富すぎる
- 請求書作成、経費精算、給与計算まで一元化できる
- 会計だけを使いたい人には「余分に見える機能」が含まれる
👉 結果として「会計だけなら他社より高い」と感じる要因に。
2. 月額制で長期利用コストが膨らむ
- 弥生会計オンラインは年額制で「初年度無料」などのキャンペーンがあり安く見える
- マネーフォワードは月額制が基本で、3年・5年と使い続けるとトータルコストが重くなる
3. 上位プランでしか利用できない機能がある
- 電話サポート
- 消費税申告対応
- 部門別管理や承認フロー
👉 「必要な機能だけ欲しいのに、結局は上位プランが必須」になり、コスト増を招きます。
それでもコストパフォーマンスが高い理由
時間削減効果が大きい
- 銀行やカードを連携するだけで自動仕訳
- 領収書を撮影すればOCRで自動入力
👉 手入力を減らせることで、経理時間を月10時間以上削減できるケースも多いです。
バックオフィス全体の効率化
- 請求書発行 → 入金消込 → 会計仕訳まで自動連携
- 経費申請や承認もオンラインで完結
👉 複数のツールを契約するより、一元化した方が結果的に安くなるケースも少なくありません。
利用者のケーススタディ:高いと感じた例
ケース1:副業ライター(月収10万円)
- 利用プラン:パーソナルミニ(1,078円/月)
- 利用状況:仕訳件数は少なく、確定申告用にのみ使用
- 感想:
- 弥生なら初年度無料で利用できたので、比較すると割高に感じる
- 消費税申告が必要になればプランアップ必須 → コストがさらに上がる
👉 副業レベルでは「機能が余分に感じる」ため、コストに対する不満が出やすい。
ケース2:小規模法人(年商3000万円、従業員3名)
- 利用プラン:スモールビジネス(2,618円/月)
- 利用状況:請求書と経費精算も利用
- 感想:
- 会計ソフト単体のつもりで契約したら、請求書機能などが含まれており「料金が高い」と感じた
- 他社ソフトと比較したとき、会計機能だけなら割高
👉 「会計だけ使う」場合にはコスト過多の印象が強い。
利用者のケーススタディ:コスパが良いと評価した例
ケース3:フリーランスデザイナー(年商600万円)
- 利用プラン:パーソナル(1,408円/月)
- 利用状況:消費税申告も利用、自動仕訳で効率化
- 感想:
- 自動仕訳で毎月の経理時間が半減
- 消費税申告まで自動化でき、税理士に丸投げするより安い
- サポートがあるので安心して利用できる
👉 「時間削減」と「税理士費用の削減」を考えると十分安い。
ケース4:中堅企業(年商1億円、従業員20名)
- 利用プラン:ビジネス(4,378円/月)
- 利用状況:請求書・給与計算・経費精算まで一元化
- 感想:
- バックオフィス全体を統合したことで、複数ソフトを契約するよりコスト削減できた
- 経理担当者の残業が減り、年間で人件費数十万円削減できた
- 料金は高いが、それ以上の効率化効果が得られている
👉 単体では高く見えても「統合ツール」として使うと非常にコスパが良い。
利用シーン別:高いか安いかの分かれ目
- 会計機能だけを使いたい → 高いと感じやすい
- 請求書・給与・経費精算も含めて使う → コスパが良いと感じやすい
- 副業や小規模事業者 → 他社の方が安い場合もある
- 本業フリーランスや法人 → 効率化効果で十分元が取れる
コストを抑えるための活用術
必要な機能を見極めてプランを選ぶ
- 消費税申告が不要ならパーソナルミニで十分
- 法人でも部門管理が不要ならスモールビジネスでコスト削減
- 「とりあえず上位プラン」を選ぶと余分な出費につながる
👉 機能と料金を冷静に比較し、自分に必要な機能だけがあるプランを選ぶことが大切です。
他サービスとの重複契約を避ける
マネーフォワードクラウドには、以下のように複数のサービスが統合されています。
- 会計
- 請求書
- 経費精算
- 給与計算
👉 すでに他社サービスを使っている場合、マネーフォワードに一本化することで重複コストを削減できます。
年額払いを活用する
- 月額払いよりも年額払いの方が実質的に割安
- 長期利用を前提にするなら、最初から年額払いを検討するのがベスト
無料トライアルで操作性を確認する
- 実際に使ってみないと「本当に必要な機能か」は分からない
- 無料期間で試して「不要な機能にお金を払っていないか」を確認する
導入前にチェックすべき3つのポイント
- 事業規模と仕訳件数
→ 副業レベルか、法人規模かで最適プランが変わる - 消費税やインボイス対応の必要性
→ 消費税課税事業者なら必ず上位プランが必要 - 税理士や経理担当者との相性
→ 顧問税理士がマネーフォワードに対応しているかを確認
料金は「高い」ではなく「使い方次第」
マネーフォワードクラウド会計は、確かに他社と比べると料金が高めに見える場面があります。しかし、
- 複数の業務を一元化できる
- 自動化によって経理時間を大幅に削減できる
- 人件費や外注費の削減につながる
といった効果を考えれば、コスト以上の価値を得られるケースが多いのが実態です。
料金を「出費」ではなく「効率化への投資」と考え、必要なプランを選んで賢く活用すれば、十分にコストパフォーマンスの高いツールといえるでしょう。